淡々と


先日、私の幼い頃の友人から久しぶりに連絡があった。

彼女は大学で野球をやっている息子さんを持っていた。
息子さんは小学校から野球を始め、
中学、高校、大学と野球で進学をしていた。

彼女からは、
息子の大学での最後の試合を観戦に行くので、
一緒に応援に行かないかと誘いを受けた。
私も彼の成長ぶりを見てみたいと思い、
応援に行くことにした。

当日は小雨混じりの冷たい日だった。
彼のポジションはピッチャー。
そして、リーグ優勝を掛けた試合が延長戦までもつれ込んだ。
彼は恐ろしいほどの重圧の中で、淡々と投げ続けていた。

試合では、様々な選手達の念いが交錯する。
「ここで打たれたら負けてしまう!」という不安。
「ここで打ち取ったら勝ちだ!」という希望。
「このバッターは、先ほど大きなあたりを打たれた。」という敗北の記憶。
「このバッターは、この試合全て押さえているぞ!」という勝利の記憶。

しかし彼はそうした念いを全てを吹っ切って投げているように見えた。

今、この一球を投げるのみ・・・
それだけに集中していた。

投げた球がホームランになっても三振を取っても、
雨が降っても気温が下がっても、
接戦の中で、チームが逆転しても逆転されても、
次の一球を、また全身全霊で投げる。

彼は何が起こっても動揺することなく、
ただただ淡々と投げていた。

その時私は、ふと
「今この瞬間に生きる」って
こうゆう事なのかもしれないと思った。

未来も過去も全て捨て、
今の状況を全て受け入れ、
この瞬間を全力で生きる。

その後試合は、感動的な逆転サヨナラで勝利した。
チームも応援団も観客も、大いに喜び湧いた。

でもあれだけの試合をした彼にとっては、
もしかしたら結果はもうどうでも良いのかもしれない。
もちろん勝つことは嬉しいことであるが、
全ての力を出し切った今、
たとえ負けたとしても悔いなどないのでは?
自身の中に価値ある何かを獲ることができたのでは?
などと想いを巡らせた。

私はこの試合を観戦できたことを、友人に感謝した。

不安や後悔をうろうろしてたら
もったいない!

結果ではなく今の自分の感覚を信じて・・・

そう!
歓喜に沸くその瞬間の為でなく
今この瞬間を生きる為に!

コメントは受け付けていません。